歩いて、読む。

日々の雑感。ときどき、ちょっと文学。

野分のまたの日に

 秋の台風がやって来ると、『枕草子』の「野分のまたの日こそ…」で始まる章段を思い出します。

 作者の着眼点や美意識に読者の感受性を刺激されることは間違いないのですが、現代人には「をかし」と評するのはある種のためらいを禁じ得ません。身の回りで被害がなかったとしても、他の地域で被害を受けた方々がいることを思うと、「をかし」などと言ってはいられません。

 だからといって、この章段を読むことが無意味ということは決してありません。「をかし」と評する作者と我々とを対比することで、現代社会を捉えなおす機会を得られるのだと思います。

 このように、現代我々を写すかがみであるということも、古典が古典として読み継がれる所以にほかならないと思います。