歩いて、読む。

日々の雑感。ときどき、ちょっと文学。

ライトノベルも読んでみる

 「読書はあまりしないけど、ラノベなら読みます」という高校生は案外多いようです。「ラノベ」とは「ライトノベル」の略称なのだそうです。学校の図書館の蔵書にもあり、司書さんいわく、「教科書に出てくるような作家の作品も読んでもらいたいが、その入り口になればと思って置いている」とのことでした。

 「読書好き」という高校生どうしの会話を聞いていると、ライトノベルの登場人物や文体が話題の中心で、主題についての感想や意見を交換していることはあまりありません。何はともあれ、実際に読んでみないことにはと思い、昨年から何冊か読み進めているところです。しかし、何点か特徴があげられそうな気もしますが、それがライトノベル固有のものと断定できるかと言われるとその自信はありません。そんな時、本棚にあった、東浩紀さんの『ゲーム的リアリズムの誕生』(講談社現代新書)に目がとまりました。

 この新書本は10年ほど前に出版されたものです。しかし、取り上げられているものが自分自身と関わりが希薄なものであったので、出版当初は私には難解に感じられました。改めて読んでみて、ゲーム、アニメ、ライトノベルなどに親しんでいない者には難解なところはありますが、現代の中高生が親しんでいるものがどのような性質をおびているのかということは垣間見えてきました。そして、ラノベを読んで高校生が、登場人物のキャラクターや文体を語る理由も見えてきました。

 多くの高校生が親しんでいる文化(サブカルチャーと呼ばれるものも含めて)に対する関心が私自身に欠如していたと反省しているところです。もう少し、中高生の文化に関心を持っていたら教材研究の視点や生徒へのアプローチの仕方も多様なものになっていたことと思います。また、文学とは何かということについても自問自答する機会を得ることができました。

 『ゲーム的リアリズムの誕生』から10年が経過しているので、ライトノベルに関する研究も進んでいるのではないかと思います。ライトノベルに関する研究の動向を、現代の青年期の理解するためだけでなく、これからの文学を展望する意味でも注目していきたいと思います。