歩いて、読む。

日々の雑感。ときどき、ちょっと文学。

脱・日本史コンプレックスを目指して

 高校時代の担任にそそのかされて、世界史と地理を選択したため、日本史の知識が不足しているという自覚を持ち続けています。大学生の時、指導教官の先生に「中世をやろうと思っているのに網野善彦を知らないなんて、もぐりだよ」と言われたのがトラウマとなっていて、網野善彦著作集が発刊されると知るやいなや直ぐに全巻買い揃えました。しかし、これは、私の退職後の楽しみとして手を付けないことに決めています。

 「どうせ学ぶなら、自分が関心を持っている時代から。なおかつ、一般教養的なものを」と思っていたところ、岩波新書の「シリーズ日本中世史」に出会いました。昨年出版されたものですが、私は今春に入手して読みました。

 シリーズの第1巻は五味文彦先生の「中世社会のはじまり」です。これはどこをとっても面白く読むことができます。教科書によく見られるような政治的な出来事に偏りがちな内容ではなく、国政や社会制度の変革が文化にどのよう影響を及ぼしたのかということについても丁寧に触れてあります。特に第5章「身体の文化」において、『方丈記』で鴨長明が「身体に発する住宅論を展開したところに大きな意義がある」と指摘されているところに、新たな観点を得ることができました。中世といえば何でも無常観で片付けてしまうような固定化した見方を、自分がしてきたことに気付かされました。

 「シリーズ日本中世史」は全4巻ですが、なぜか第1巻だけは繰り返し読みたくなります。自分になじみのある作品や人物が多く登場するからでしょうか。日本史コンプレックスの私にも親しみやすい歴史書で、他の時代のものも読んで見たいと思っています。