歩いて、読む。

日々の雑感。ときどき、ちょっと文学。

鳥取市河原町の在原行平の鬼退治伝説

 鳥取県東部地区(因幡地方)には、在原行平に関する伝説がいくつか残っています。「立ち別れいなばの山の峰に生ふるまつとし聞かば今帰り来む」の歌で知られているとおり、因幡国司としてやって来たためでしょう。その中で、鳥取市河原町に残っている伝説では行平が鬼退治をしたという内容になっています。鬼退治の伝説は悪政を改革したことのメタファーであることが多いように感じています。この点については私は不勉強なので今後の宿題です。行平は民政において才能を評価されているようですので、因幡国においても住民の幸福に寄与したのだろうかなどと想像をかきたてられます。しかし、なぜ河原町に残っているのかについてははっきりとした根拠を見出せません。行平の鬼退治の伝説には他に様々な伝説が付け加えられた形で構成されています。当初は「付け加えられた」ものの方が元来存在していた伝説であったとも考えられます。

 地域の伝説・言い伝えの類の話をすると、史実か否かの一点で評価してしまおうとしがちです。しかし、そのような伝説が存在し、伝えられたことも、また事実であることを忘れたくないものです。話を生み出し、伝えていった人々の内面に焦点をあて、読み解いていくことは、人間を理解する上で有益な営みであるはずです。

 特に最近、このことが大切なことに思われるようになりました。ふだんの生活でも、「この人の言っている内容は事実か否か」という思考ではなく、「このような内容の話をしている、この人の内面には、どのような思考や感情があるか」という思考の方が大切であることもたくさんあるからです。