歩いて、読む。

日々の雑感。ときどき、ちょっと文学。

アドラーの心理学

 書店に行くと多くはビジネス書のコーナーにアドラー心理学に関する書籍があります。アドラー関係の書籍はコンスタントに出版されている印象があります。が、その多くはアドラーの考えをかなり誇張した形で現実の問題への対処法を示している印象を受けます。分かりやすいことを優先するためでしょうが、それがあまりにも割り切り過ぎる感じがして、私なぞはかえって腰がひけてしまいます。

 小さい頃から家族のことで悩まされることが多かったからか、自然より人間、しかも人間の内面に関心が向き、それで文学に親しんだのですが、心理学や精神分析書物も高校時代から読んできました。高校生、大学生の頃は、河合隼雄先生が大活躍されていた時期であり、私も就職してから岩波書店の全集を購入して何度も読んだものです。その流れで、フロイトユングもかじりました。しかし、私が最も影響を受けたのはアルフレート・アドラーの個人心理学です。春秋社から出版されている『現代アドラー心理学(上)(下)』、『人生の意味の心理学』、『人間知の心理学』を一気に読みました。人間そのものについての理解が深まっただけでなく、人間が生きていく中で出会う問題について、現実の課題としてどう向き合っていけばよいかが、私の中で整理されたような印象を受けました。もちろん、アドラー書物に示されているのはハウツーやマニュアルではありません。けれども、読む人各自が抱える諸問題に何らかの啓示を与えてくれるように思います。

 何か深刻な悩みを抱えている人に対して、私は気の利いた言葉をかけることができません。河合隼雄先生の本やアドラーの本の一部を紹介するくらいです。それすらも、これまで2、3の人にしかできていないのですが…。ただ、それがきっかけとなって、自分自身が「これだ!」と思うものとの出会いがあるといいな、と思います。