歩いて、読む。

日々の雑感。ときどき、ちょっと文学。

タヌキにばかされた話

 大学の卒論を鴨長明で書いたということもあり、人生の節目や行き詰まりを感じたとき、日野山の草庵跡を訪ねます。最近では今年の2月末に行きました。京都市営地下鉄石田駅ができてから、日野へは随分行きやすくなりました。

 今回はついでに日野岳山頂やパノラマ岩にも行ってみようと思っていたので、見慣れた「方丈石」を通過して、山道を登り続けました。「方丈石」から先を行くのは初めてでしたが、ガイドブックにあるとおり、道ははっきりしており、所々にルートを示すビニールテープも貼ってあるので不安もなく登って行きました。方丈石から30分ほど歩いていったところで、山道の真ん中でこちらをじっと見ている小動物がいました。白と茶色の斑模様をしていました。珍しかったので写真に撮ろうとカメラを用意している間にその動物は山道を登って逃げて行きました。その後ろ姿で、タヌキだったと分かりました。

 その後、しばらく山道にしたがって歩いて行ったところ、突然、道が消え、周り一面が落ち葉の林に立っていました。ルートを示すものも、人が通った形跡もなく、道に迷ってしまいました。電波が弱く、タブレットのGPSで自分の現在地を測位することもできません。通って着た道に戻ろうともしましたが、どうも同じ所をぐるぐると回っているだけらしい。結局、とにかくピークを目指して行くことにし、急斜面を登って行きました。

 幸い10分ほどで道を発見し、とりあえずその道にしたがって下山することにしました。結局その道は、登って来た道に合流し、呆気なく山の入口にたどり着くことができました。

 山には日頃から親しみ、その恐ろしさも理解していたつもりでしたが、低山であるということもあり、地図とコンパスを準備しないなど、完全に油断していました。それにしても、下山後に自分が通った道を地図で確認しようとしても一向に分かりません。「タヌキ化かされたんだ」と、かなり本気で思っています。