歩いて、読む。

日々の雑感。ときどき、ちょっと文学。

用語によるイメージ 災害文学?

昨年は鴨長明没後800年の節目の年であったためか、長明や『方丈記』に関する一般向けの書物がいくつか出版されました。その中で、「方丈記は『災害文学』である」という説明がなされているものがあって、現在はそういう捉え方が主流なのかな?と疑問に思いま…

ライトノベルも読んでみる

「読書はあまりしないけど、ラノベなら読みます」という高校生は案外多いようです。「ラノベ」とは「ライトノベル」の略称なのだそうです。学校の図書館の蔵書にもあり、司書さんいわく、「教科書に出てくるような作家の作品も読んでもらいたいが、その入り…

景気と人生

今朝、テレビで高校野球中継をみていると、速報がうたれました。内容は、4月から6月の実質GDPの伸び率がプラスであり、6期連続でプラスであるというものでした。なぜ、速報で?という違和感を感じました。 この状況に至る前、就職氷河期と呼ばれた時期に…

情報社会 東京に求めること

昭和十年代のある雑誌に掲載された記事を読みたいと思っていたところ、国会図書館にだけあると分かりました。地元の図書館に問い合わせると、鳥取で複写したものを見ることができるという回答でした。私の学生時代なら、間違いなく東京までいかなければ読む…

因幡万葉歴史館 大伴家持生誕1300年を前にして

かつて因幡国庁があった鳥取市国府町は因幡一宮の宇倍神社をはじめ、彩色壁画で知られる梶山古墳など、古代のロマンに溢れる地域です。私自身も子どものころから今日にいたるまで慣れ親しんだ地域でもあります。 その国府町に「因幡万葉歴史館」があります。…

長崎平和祈念式典に思う

今日は長崎で平和祈念式典が行われました。今年の「平和への誓い」は初めて公募によって選出された方によって行われたということです。テレビの報道で、その方は、原爆で亡くなった姉が夢に現れ、原爆の悲劇を伝えるのがあなたの仕事だと訴えるのだとおっし…

脱・日本史コンプレックスを目指して

高校時代の担任にそそのかされて、世界史と地理を選択したため、日本史の知識が不足しているという自覚を持ち続けています。大学生の時、指導教官の先生に「中世をやろうと思っているのに網野善彦を知らないなんて、もぐりだよ」と言われたのがトラウマとな…

先輩の道案内

就職して最初に赴任した職場には旅行好きな先輩が多く、飲み会での話題はつねに旅の経験談でした。そして、旅の行き先は必ず文学が関係していました。先輩たちの話に刺激されて、二十代には夏期休暇を利用して奈良をよく訪ねていました。 とにかく、お金をか…

8月6日に思うこと

今年の7月上旬に広島に行きました。広島記念資料館には多くの修学旅行生が来ていました。中学生と思われるグループは、入館当初は修学旅行の楽しさも手伝ってか、わずかにはしゃいだ様子の生徒もいましたが、展示されている資料を見ているうちに、みるみる表…

フィールドワークをとおして考えること

フィールドワークをしていると、社会の変化を実感させられる機会に多く出会います。鳥取では少子高齢化、農村部で急速に進む人口減少を特に感じます。夏休みであるにもかかわらず、屋外で遊ぶ子どもの姿を見かけることはまれです。(今夏の猛暑では屋外で遊…

伝説と「記念物」

伝説は具体的な事物(柳田國男のいう「記念物」)に結びつけられていることがほとんどです。山や川などの自然に対して、建築物や石碑など人為的な事物はそれが失われるとともに、その事物に関する伝説も失われてしまうことは仕方がないことと言えるのかも知…

八上姫を訪ねて

鳥取は「因幡の白兎」の伝説の地としてもよく知られています。兎が「ワニ」を騙してたどり着いたという海岸は、白兎海岸と呼ばれ、鳥取県東部の主要な観光地の一つとなっています。 『古事記』では大国主命に助けられた白兎は、大国主命が美女として有名であ…

分かった気にさせる言葉

耳によくするので、何となく意味が分かったつもりになってしまう言葉が氾濫している気がします。最近では、「コンピテンシー」。「望ましい成果をあげることができる資質?」くらいに私は受け取っていますが、誰もが一義に理解できる定義はないようです。け…

桜でつながる町づくり

陸前高田市にある認定NPO法人「桜ライン311」は、東日本大震災の際に津波が到達した地点に桜を植樹してつなぎ、桜並木を形成することで後世に震災の教訓を伝えていく活動をしている団体です。170キロメートルに渡って10メートル間隔で桜を植える計画であ…

真夏の水やり

これだけ暑い日が続くと、庭の植物も元気がなくなります。朝にたっぷりと水やりしても、夕方にはプランターや鉢に植えた植物はすっかり萎れてしまっています。そういうわけで、毎日、朝夕と水やりに精を出すことになります。朝、睡蓮の葉の上に座っていたカ…

東日本大震災被災地を訪ねて

今週は、岩手県、宮城県に行き、東日本大震災の復興の現状を学びました。目で見ることができるところでさえ、復興は緒についたばかりでありました。被災者の方、まちづくりの中心となっていらっしゃる方をはじめ、乗車したタクシーの運転手さんや、立ち寄り…

他の言語を学ぶこと

高校野球の予選も大詰めとなり、選手や監督、コーチのさまざまなコメントが新聞やテレビのニュースで伝えられます。コメントの中に「やりきる」、「やり抜く」という言葉をよく耳にします。この「やりきる」、「やり抜く」という言葉を英語では"Go the distan…

本当に読みたい『方丈記』

鴨長明『方丈記』は高校古典の教科書では定番作品です。とはいえ、採録されているのは冒頭部や五つの災厄が中心です。それ以外の部分では、日野山での閑居の様を記した部分が取り上げられるくらいでしょうか。もちろんこれらは名文と呼ぶにふさわしいと思い…

『坂の上の雲』に思うこと

司馬遼太郎さんの『坂の上の雲』はまとまった時間が取りやすい夏休みに読んでみたい小説です。とは言え、とにかく長編で、私は読破するのに何度か挫折しています。この小説からは明治という時代の雰囲気を人間の生を通して感じることができます。明治という…

鳥取市河原町の在原行平の鬼退治伝説

鳥取県東部地区(因幡地方)には、在原行平に関する伝説がいくつか残っています。「立ち別れいなばの山の峰に生ふるまつとし聞かば今帰り来む」の歌で知られているとおり、因幡国司としてやって来たためでしょう。その中で、鳥取市河原町に残っている伝説で…

源平盛衰記を身近に

中世の古典文学作品を読んでいると、注釈に「『源平盛衰記』には…」などとよく記されています。落語の素材となるなど、名前はよく聞くのに、翻刻されたものは入手しづらい作品です。現代語訳だけのものなどは見かけますが、同じ軍記物語である『平家物語』と…

アドラーの心理学

書店に行くと多くはビジネス書のコーナーにアドラー心理学に関する書籍があります。アドラー関係の書籍はコンスタントに出版されている印象があります。が、その多くはアドラーの考えをかなり誇張した形で現実の問題への対処法を示している印象を受けます。…

清盛塚を訪ねて

宮島には、「清盛塚」と呼ばれる経塚があります。清盛が平家一族の繁栄を願い一字一石経(教典の一文字を一つの小石に書き記したもの)を埋めたと言われているようです。発掘した際には、平安時代のものとみられる銅製の経筒、甕、刀片、中国宋代の白磁の合…

寄り添う力 川上弘美『水かまきり』を読んで

川上弘美さんの作品には、奇をてらったところがなく、また意図や作意を読者に意識させることもありません。それでいて個性を感じます。「好きな作家は?」と問われて、答え私がるのは、川上弘美さんです。(そもそも、好きな作家は誰かと私に問う人もいないの…

厳島と平家物語

厳島と平家物語といえば、なんと言っても厳島神社です。そして、平清盛との関わりの深さもよく知られているところです。 厳島神社の中には、清盛のほかにも平家物語の登場人物にゆかりのあるものがあります。ここでは、平康頼にゆかりのあるものを紹介します…

平家物語と出会い、平家物語で出会う。

昨年の秋以降、『平家物語』を繰り返し読んでいます。新潮古典集成の新装版がお気に入りです。平家物語は中学、高校と授業で習いましたが、高校時代に習ったことは全く記憶がありません。中学時代の授業では、平家物語をとおして無常観を学び、これを端緒と…

鳥取砂丘を歩く

先日、砂丘周辺の石碑を見て回ったついでに鳥取砂丘へ行きました。年末に行われるイルミネーションは毎年のように行くのですが、日中に海岸線まで歩いたのは、学生時代以来です。岡山出身の友人に「鳥取と言えば砂丘」とリクエストされ、バスに揺られて来たこ…

タヌキにばかされた話

大学の卒論を鴨長明で書いたということもあり、人生の節目や行き詰まりを感じたとき、日野山の草庵跡を訪ねます。最近では今年の2月末に行きました。京都市営地下鉄の石田駅ができてから、日野へは随分行きやすくなりました。 今回はついでに日野岳山頂やパ…

異世代をつなぐもの

鳥取大学で国文学及び民俗学の研究をしていらっしゃった野津龍先生の著書『子どものための鳥取の伝説』を久しぶりに読みました。この本は1979年に出版されたもので、小学校で購入希望を取りまとめられた記憶があります。湖山長者の話など懐かしく読み返しま…

自分の声を聴くこと

病気やけが、心の不調などの理由で仕事や学校を長期間休まざるを得ないことがあります。それが一家の大黒柱だったりすると、本人だけでなく家族も苦労することが多いです。「全治○○か月」等と治癒の見通しがある程度たつ場合にくらべ、見通しがたたない場合は…

初老に読む『山月記』

中島敦の『山月記』を久々にじっくりと読みました。若い頃は、主人公の李徴にどっぷりと同化して読んだものです。初老を過ぎた現在、私の関心をひいたのは、李徴の執着と自嘲癖です。李徴は自分の詩を世の中に残すことに執着をみせます。それは、詩人として…

鳥取の行平伝説をめぐる現状

現在、私は鳥取県東部地区の在原行平に関する伝承に関心を持っています。Webページにもいくつか紹介されていて、その中には地元の人間も知らなかったものもあります。 鳥取市役所の公式Webページにも用瀬町の行平伝説が紹介されていました。その解説文中に『…